プラネットOFゴリラ(11)

 

自分が果たして、何者なのか?男なのか、女なのか?それすら明確には掴めない状況下にありながら、ひとつだけ、明解な現象がプリンスにはありました。自分が思っていることではないにも関わらず、彼の舌を借りて、彼の声を借りて、誰かが発言することがあり、その時は、トラの威の下に、すっぼりと、隠れて、ことが収まるのを待っていたのです。信じられない…と全員が一様に訝るかもしれませんが、彼の弱者風情を払いのけて、しかも、発言を強行突破していく、頼もしい輩がプリンスの中には居た。存在をしていた。一筋縄では行かない自分が、今後はどうなって行くかは、プリンスにすら知らされず、神のみぞ知るセカイだったのです。