寂しさを乗り越えた先にある絶景

 私がひとり鍵っこでいつも三面鏡に自分を映して遊んでいたことも心を成長させたな?って今思う。全面だけを前から映すことでは人生は広がらない。母もそれは嫁入り道具で本当に大事にしていた。母の御嫁入り道具には着物や桐のタンスなどあって、小さなうさぎ小屋のようなアパートに入りきれない位あって、しかもひな祭りのセットも持っていた。もちろん祖母キミのお琴も。三姉妹の中で一番頭が良かった母にはほぼすべて形見として兄から与えられたという。私はそれを母が大事にしていたことを五歳まで記憶している。しかし母は大きなトラブルに見舞われてそのお琴を矢上の実家〔父の生家〕の五右衛門風呂で焼いてしまうのです。私の人生は母の心に伴走したようなものだったのでそこは許せます。いかんともし難い時代の波で母は溺れそうになって、お琴に縋ったとそう解釈しました。女三界に家はなし・・・日本にはまだ、こういう言い伝えが現存しています。しかし女子は世代交代で日々頑強に強くなっている。このことを励みにして私だけではなく邁進しているのです。三面鏡が私を育てた、そしてあらゆる面を想定する幼児の心を育んだことも認めておきましょう。