貞彦編805

 

長崎弁でも矢上(やがみ)のほうに行くとちょっと違う言葉もいっぱい出てきてそれは母が使う標準語ではなく、やっぱり祖母タヤが頻繁に使った言葉で夏は特にこの言葉が多用されていた。畑仕事を常としていたタヤだった。自給自足を理想として縫い物が一段落したら畑に出掛けていたんだ。ちょうど、今のララコープの近所にタヤの所有の畑があった。道行く人達に声を掛けられて応えるタヤ。お節介過ぎるくらい、人様のことをしっかり見ているタヤの性向。暑くてたまらないことを長崎では照って照ってって表現していたんだ。この暑さはやばい、どうしようもない・・っていうのを強調するには照ってを二回言うことで達成していたんだね。タヤも夏にはこの照って照ってを何回も使ってた。じゃあこうも言えまいか。照っての一回だけでが通じなかったんだねって。照って照ってって二回言うことで長崎人は溜飲をおろした。相手もそれに呼応した。一回きりなら答えないけど、二回照ってを言われたことで交わす挨拶になっていったんだ。精が出ますな・・・(暑いさなか、畑仕事をするけど、本当熱心ですね)っていう言葉を掛けられタヤは嬉しかったのだろう。私の性格、人懐っこいは恐らくタヤからの遺伝だろう。