貞彦編〔23〕

 さい〔才が架かる〕は投げられた・・・っていう感覚でいていいでしょう。いつでもオンライン投稿で顔を見せてもいいっていうオープン志向で今あるあたし。誰も邪魔はしないし、オンラインにどうすればなるか、パソコン設定が分からないだけのあたし・・・。笑える?確かに。今父親である貞彦編をしたためながら思うのは敗戦したから一回死んでいるっていう理屈なんですね。一回は死んでもいい、仕方ないって腹を括っている。だから祖国の地を踏み、長崎まで辿り着いた時には本当の新しい人生が始まっている・・・っていう新鮮な気持ちだったでしょう。広島と長崎は吹っ飛んで無くなったというニュースを父は台湾ですでに聞いてはいましたが、三菱工場に派遣されていた妹の美知が奇跡的に助かったことを聞き目を丸くします。涙も出てきます。命からがら家まで帰って来れたことは仏様が守ってくれたから!!とタヤをさらなる阿弥陀如来への信仰へと促す。父は鬚は伸び放題で一見すると誰かも分からない位、野蛮人化していたと言います。それでも生きて無事に帰還出来たこと・・・最初何を思ったでしょう。他の三人の女子の姉妹と全く同じだった訳ではない。男一匹ガキ大将みたいな意気込みだったと思うのです。同級生のクラスの男子のうち、生き残った生徒は半分もいません。若干名で命を繋いだといっても過言ではない。九歳年下の美知は女学校でしたから14歳で兵器工場に駆り出されていたのです。