貞彦編〔108〕

 今日は広島の原爆の日。三日後が長崎の原爆の日になります。戦後七十五年ということでひとつの節目になるなあって。戦後十一年して生まれたあたしも六十四歳ということでこの年齢の重みに今驚いています。夏休みは隣のロコちゃんといつもトランプしながら過ごしていたからです。ロコちゃんのお父さんは父とは従兄になることで常に一歳上のロコちゃんとあたしは比べられていた。しかも彼女は秀才で後に学校の先生になったそうです。父が自分の著書である”自然法爾章”〔百華苑出版〕を手渡そうとしていたけど、渡す機会を逃してしまったのか、今、あたしの手元にあるのがその本です。従兄とはいえ、父よりも遙かに立派だったと思う。三人の子供たち全員を教職に就かせた。それなのに、父は、自分でも照れ臭かったのでしょう。二人の落ちこぼれをこの世に放出しながらこの本を彼に渡そうと・・・あたしは不遜な父をもはや叱りません。だって本人はだからこそ、あたしたちの名前は一行たりとも本には載せてはいない。しかも、自分の妻のことも。ただ、母親タヤのことはしたためているのです。マザコンだ!!とあたしは思いません。自分がこの年齢に達して分かることも多い。明日の朝、起きてみると息がなかった・・・と言われても全然おかしくはない。今アメリカのことを考えています。この原爆二個の悲劇は計り知れないけれど、恩恵を探そうとするなら、アメリカと大親友になれたことかなあ。