貞彦編806

 三番目はすーすすだ。隙間風的な寒さを表す。長崎の人が正しく今、使うのがすーすすだ。この3つは実はクラブ時代に桃子さんが話してあたしがそれを伝えている。桃子さんが長崎弁の大事な3つをみんなの前で話した時、あたしは入店したばかりの26歳の若造だった。クラブってとこは皆を注目させないといけないんだな・・はそのとき、知った。長崎弁の大事な3つを説明したいって彼女が話し始めると客たちはのけぞりながら耳を澄ましていたのだ。へーーーそうなんだ。すーすすーは隙間風みたいな寒さなんだ・・って。おしゃべりでも品格があるおしゃべりってあるんだな・・をソッコー学ぶ。モンロー・ウォークで店内をのっしのっし歩く桃子さんは美貌の売れっ子だった。服装もブランドでしかも顔立ちも日本人離れしていた。しかしそれだけではなく頭も冴えた。少しも客の気持ちに及べないホステスもいれば、彼女のように知識層には違った構想で臨まないといけないをしっかりわかっていたホステスもいてそれが仕事魂だ。私は分かれ道に立っていた。美貌があるから話もきらめく彼女。しかし自分には何がある?って。素朴なぽっと出の田舎者があたしの特徴でしかなかった。あれからずっと自分の特徴についてを考え続けてきたが、今、特徴の徴を長に書き換えることが可能になっていること。そこに着目出来る自分はいる。