貞彦編〔180〕

 あたしはまるで自分のことのように隣に座る男子の苦しみやモガキを受け止めていたといえます。発端はその子が発表が苦手でいつも真っ赤になる。みんなが冷やかして余りに可哀想だったこと。しかし絶対に発表しないといけないのか?充てられたらそうかもしれないけど、その子は余りの冷やかしの合唱でもう学校に来るの嫌だよ?ってあたしの心にメッセージを送ってきていた。それであたしも自分で実験してみることにする。第一先生は、勉強が出来るを主眼に置く姿勢。そこが丸見え。じゃあ社会の下部に勉強の出来なかった子供が大勢は底を支えにいくわけ?どうも違うよな?って疑問符もあったんです。特に父親があたしの場合、そういうエリート志向に憧れていたこと。頭のいい子と常に知り合いでいたい派。そういう魂胆見え見えだったことがあたしを問題児ならぬ、異端児にしていったと思う。自分はちょっと贅沢でワガママな思考のもとに発表拒否を続行して、先生と闘っていたんですが、その先生は二年に進級ってとき、まさかの担任になる。ショックでした。また反抗姿勢を続けないといけないことが難儀だったと言えるし、おさらば出来るって軽く捉えていた。しかし濃縮されたこの中学二年での一年間があたしを抜本的に替えたこと・・・そのことに後年気が付く。先生の力です。能力といってもいい。どんなに嫌われても持論を先生は崩さなかった・・・。敬謙なクリスチャンでもあったのです。