貞彦編〔126〕

 作家として、まだ、その頃は手探りの状態ですが、直感として自分の恋を遠くから静観する行為がまず大事だと踏む。好きな気持ちは依然として強かったものの、相手の真意が完全には呑み込めていなかった。自分の中で懐疑が芽生えていたのです。本当にあたしのことを好きなら何を置いても連絡してくるはずだって。すかさず試したし、それが通常だと思った。しかしそれと同時に作家ならどう描くべき?を自分の中で理論付けに入りたかったんだと思う。その恋にどっぷり浸かってしまい翻弄された挙句、後に記述するだけでは、決してないような気モチがしていた。真相はそんな所にはなくて、別の領域にあるのでは?って。熟練夫婦のなれの果てになってしまうのか?それとも、思いとどまることや制止によって、違う成果が後で出現するのでは?・・・とにもかくにも頼もしい弁護士によって世間様を知ったことが吉と出る。一般的に男はDVと言われてもおかしくないような態度でいて、それがまだ、認可されている日本の現状を掴めたことは大きかった。そして離婚原因として指摘出来るものは、相手の裏切り、不倫や金銭上の問題、そして言葉や身体への暴力など数々あることを知る。夫はどの項目にも当てはまらないこと・・・。しかしながら彼にも忸怩たる思いはあったでしょう。事実上、あたしが家を出て別居したい!!という気持ちにまで到達したことはショックだったと思うのです。