貞彦編〔107〕

 父の口癖は努力に勝る天才なし・・・それを聞き一回目はそうかもなあって納得するものの、待てよ・・・っがあたしに起る。色んな場合を想定するのが符合論者の手始めだからです。小さいときは自分がそれを解明するなど思ってもいないけど、これは大人になるにつれて、状況証拠が揃ってきた例。父はあたしに努力を促しているんだなっていう幼い心でのキズキ。しかしみんなが手法が違う事に父はまだ気が付いてなかったと思う。それぞれの方法論を持っている。例えば大リーグに行く時でも日本のプロ野球を通さず行く場合ハンディがある。取り決めというのはある意味、過酷だと思う。しかしここであたしが発見したのは父は既成概念が頼りなんだな・・・っていう公〔オオヤケ〕志向です。努力してナンボではない生まれた時から与えられた才能についてが全く度外視なのでは?ってまず疑うのです。しかしそれではまるで父を馬鹿にしているみたいで自分の中で訂正する。大きな賭けでした。あたしは父に質問せず自分の中だけでこの思いを醸成しようと企むのです。天才が努力した場合・・・どうなるの?って。しかもその努力は半端ない努力。今・・・黄泉の国で父はあたしを見て嫉妬しているでしょうか?いいえ、父は喜んでいます。