貞彦編〔85〕

 子供の為に骨身を惜しまず、人生を、それ優先でまっとうして欲しいっていうのは伯母を含めた大人たちの願いでした。でも・・・この願いは酷く矛盾を含む体制。しかもシグナルが自分の中ですでに雷鳴していたのです。この啓示は強烈でした。大人は矛盾だらけのくせしてご大層なことを平気で発言するのでは?あたしは啓示のまま自分の人生を進もうと思うのです。それは両親の脛を齧るという許し難い性向を治して行くのならまだしも、解る。許せるのですが、父は明晰な頭脳であたしのズルさを見ていたと推量するのです。しかしそういう父もやはり男。このカテゴリグループにある限り自分は自分の裁断で行くべきだ・・・は出ていました。あたしは不思議に思っていたある言葉があったのです。これは世間一般の女性の言葉ですが、何度も聞くうち、思ったんです。矛盾の範疇にあるなっていう語彙予感です。そうでしょう。ふたつの事柄はまるでかい離しているのに両方を同時に言う大人が存在するんです。障子のさんに関することです。そこを指で確かめて掃除しているかどうか?男が日々チェックするのなら嫌な男よね?って。しかしそれを言いつつ、大人は違うことを言う時があった。障子のさんはいつも埃をとっておかないとね、大事なポイントになる。はたきでまず部屋中の埃をはたいた後にさんをしっかり拭く。家事を任される女性の大事な仕事になるって。じゃあ前者はなんでしょう?そういう男はダメだ・・・って女性が断言したのはなぜでしょう?