貞彦編〔59〕

 ずっとこれまでバリウム検査しか受けてない私には劣等感があって、実はパートナーにも嘘をついてた。ちゃんと検診行ったよ?って。領収書にも明細まで書いてない。それはバリウム検査だったか、それとも胃カメラだったか分からないことをいいことにあたしは伴侶に嘘をついてた。そして結果が封書で送られて来ていて、去年までは大丈夫だったんですが、どうも胃液が上って来るような酸っぱさを感じるようになって、今回はその症状を家族に伝えると、めちゃ心配し始めてサイトで調べてくれるのです。でもね、お母さんって。バリウムでしか判明しない胃がんもあるみたいでさあ、いちがいにお母さんが間違ってたとは言えないみたいなの。えええ?ってあたしもびっくりして訊き返す。まさか、そんな展開、この世に存在するの?って。矢次早になって質問します。スキルス癌はバリウムで発見されるらしいのよ。ふ~~ん、じゃあ、そこまで自分のやってきた検査方法を猛省することもないか・・・なんであたしって自分を常に卑下するの?と考え方を改めます。バリウムだって立派な検査方法。今持ってどこでもそれをやってること自体が証明している・・・って。途端に気分明るくなって来て自分がどうしようもなく小心者であることを再確認します。この一面がこれまでのあたしをオブラートして来た殻の正体!!今はどっちの検査にしようかな?って仏壇に向かってパートナーに話しかけている段階です。