貞彦編〔42〕

 余人を持って替え難いなんて言われたら誰だって調子に乗るし、為政者に言われれば嬉しいですよね。ノボせ上がってしまいます。特に好きな人に言われればその気持ちって最高潮まで行くと思う。あたしは人生で一回でいいからこの余人を持って替え難いって言われたい。まだ、一回もありません。しかし当時、和田家の一番輝いていた頃、きっと生まれたばかりの弟へのみんなの視線こそ、余人を持って替え難いが的中かもな?って真剣にそこを思う。なぜかというと男子と女子の違いです。やっぱり男の子に期待する気持ちって世間は大きいし家族だって同位。あたしに対しての期待が弟の出現によって半分になった。プレッシャーは軽くなった感じもしておおらかな気分になるのです。あたしに対する期待はあの事件ですっかり消失したのか?っていう残念な思いが又、少しずつ膨らんで来て毎日のように矢上神社に行って弟の世話の合間、友達と遊ぶあたし。一年生から三年生までずっと同じ担任だったことでそれなりの対応を身に付けてはいました。いきなり机の検査があるのです。乱雑に教科書を机に直すタイプのあたしも月一回のそれが近いなあ!!っていう時はあらかじめ机の中を整理したりと気を付けていたのですが何ぶんにもB型。後からすればいいさ!!って前倒しではないのです。