貞彦編〔50〕

 父と伯母は生まれた赤ちゃんを見に来てくれる・・・。それもまだ、あの古い市民病院の中のビニールの屋根のある場所です。売店があって目の前でドリンク購入して懇談し、それが終わるとケースにまだ入った赤ちゃんを見学に行く。この2012年をあたしは忘れません。まだ、母も生きていた。そういえば昨日、クリントイーストウッドさんのマディソン郡の橋を見て早速調べたんです。彼は母よりも一歳下。ちょうど九十歳になられているんですね。あたしの憧れの男性です。なんとこの映画に出演したとき、六十代。こんな凄いことはありません。その年代で恋に燃える男を演じる・・・そして雨が降りしきる中での訴える姿・・・あたしの涙は止まらない。メリルストリープさん演じる女性はイタリアからアメリカの田舎にお嫁に来て、農業の仕事しながら子育てをして今を築く。どうしても夫や子供達を捨ててまで恋に走っていくことは出来なかった。車を開けようとはしていたんですよね?ドアに手が掛かっていた。それなのに、自分を抑えた。出奔することはみんなを苦しめることだ理性を優先させ、彼の誘いを無碍にした。でも心の中ではそうしたくはなかったんですよね。あたしはハードボイルドも恋愛もどっちにも精神を捧げることが出来るクリントイーストウッドさんこそ、二刀流だと思う。比重が拮抗しているからです。どっちにも手を付け素晴らしい結果を引き出せる。九十歳と聞きなお感動します。まだまだ、作品を待ち望むファンの為に、もうひと花咲かせて下さい。