貞彦編〔3〕

 父の母だったタヤは男の子第一主義です。なぜなら日頃から娘三人と交換してもいい!!って豪語していた。これは伯母から聞いた話ですが今となっちゃあ聞き捨てならない。なぜならヒキカエにしてもいいって言うからには相当の心の比重があるだろうし、それが娘三人と父が同じ?バランスを見ながら当時の母親たちの思いが全部そうなのか?通じるものが果たして今あるのか?と、しかし今そういう考え方をする人はほぼ居ないでしょう。跡取りが必要な家でもそこまで口に出しては言わない。世間様と世間体を気にする。すこぶる分かるのは川柳的な人物、タヤだった・・・ということでしょう。そしてゴリ押しを決行する母親。自立もしている。町の人たちに和裁を教えていた。たった一人の息子を戦争に出してもしも死なせてしまっては絶対いけない・・・ってなんと談判に横須賀まで行き、馬に乗っている人に応接間に来なさいと言われそこで懇願します。こん息子わ~あととりですけん、死なせるわけには参らんとですよ・・・そこまで今の親たち動きますか?あたしも躊躇する。したいと思っても出来ません。おかみが怖い。後から仕返しがないか?って戦慄さえ覚える。しかし明治の女はやるもんすなあ。