濱田食堂の前で

 まだ長男が五歳くらいでしょう。その時に彼と姉二人が暫く矢上に棲んでいた時、私は短期間ですがアパートを借りて実家ではない場所に住まいを構えていたのです。父は真剣に私にシングルマザーとして生きていく為にどうすればいいか、まずは収入だろうってお役所と掛け合っていたのですが、どうしても私には結婚願望が消えないまま残っていて、今のPとの結婚へ行く方がよりよいとそう自分の中で決断したその頃、番所橋の濱田食堂の前の川に降りて、そこで友達と喧嘩になって石を投げられ長男は怪我をして帰ってくる。私はやられた方がいくじないんだよ!!とまでは言いません。ここは母として何を諭せばいいのか?クリアな記憶として残す為に、しっかり傷の手当てをしながらそれでも苛めっていうものは・・・と語ることにはならない。この場所は実際遊んではいけない場所、ついて行ったあなたの心が軽率だったのでは?彼は泣きだす・・・。男の子同士の世界できっと何かが起こったのでしょう。怪我の痛みも考慮し厳しくは言わないけど、将来に繋がるものを彼は会得した。生涯その川を忘れないでしょう。母が常に一緒にいて守ってやれない現実です。自分が個として皆と歩調を合わせていく生活。自分に与えられた本当の力を、そのつどわかっていく。試練、実〔み〕になる・・・そういう観点です。