プラネットOFゴリラ(157)

 プリンスにとって、最後のチャンスが日曜日の夜に訪れていました。二十歳になったばかりのエネオススタッフの青年は、自分のおばあちゃんみたいにプリンスを慕って通って来ていました。最近事故を起こして車を買い替え、その新しい車をお店に見せに来てくれる位ふたりは打ち解けていた…それなのに、恵方巻を薦める手はずは取れなかった…プリンスは、ことの深層に探りを入れてみます。なぜ、予約を取ることが、難しいのか?それは、再び店を訪れて来ないといけないこと…そこに、難儀の源がある。もしも、店に行けなくなってしまえば、困る事態になる。恵方巻は受け取れない。いきなり、飲み会が入ったりと、男子は女子より仕事帰りの行動はより、変化に富み、流動性も絡み煩雑だからです。プリンスはしかし、またチャンスは来年がある!!と一個も予約が取れなかった自分を認可するのです。

プラネットOFゴリラ(156)

 昔なら生保でも布団屋でも、棒グラフで競い合わされ、スタッフたちは、鎬(しのぎ)を削った。競い合う盤上がきちんと、あったからだ。それに見合うパン食い競争のときの、ゴールになるパンも、皆無だ。成績を上げた場合の表彰も提示されてはない。いまいち、オーナーや、マネージャーの立場も、見えにくい。彼らが矢面に立つべきでは?プリンスには間違いなく、そう思えたし、自分の店なら、どしどし、どし顔で前には行けるのだが、先輩たちの顔をどうしても想定する。彼女たちのメンツもある。先輩が固定客を、握る場合、その相手に薦める勇気は出ない。恵方巻は如何ですか?今晩はそれを発するチャンスはある。大先輩も一緒だから、頼み易いは易いはプリンスにはあったのです。

プラネットOFゴリラ(155)

 あれから全くあのお客様は来なくなり、それは…プリンスが、ナナコを持つことを薦めたから?結構杞憂が多い自分の性向を改めて戒めます。そんなやわな理由ではない…きっと彼は、忙しいに違いない。もしかしたら…今夜あたり来るかも。それを希望の灯し火にしながら、早朝勤務の準備に入るプリンスです。また、夜勤に出る強豪女子がバイト帰りに店に寄るかも…それを想うと胸が熱くなる…。彼女は70歳をとうに過ぎて必要とされている。メンテナンスを任された深夜が、シルバーの活躍出来る幕かもしれない。そうあたりを付けるのです。

プラネットOFゴリラ(154)

 恵方巻諦めて、せいせいしていた矢先、昨日の朝の出来事です。わてより、6歳上でありながら、某セブンイレブンの夜勤に入る豪傑女子のレジ訪問を受け、コミニケーションする。うちにも、琴海ニュータウンに女子のいとこがおる話にも花が咲いて、オーナーが二店舗経営はざらなんやを耳にして、なんちゅうことや…わたはたまがるんや。プリンスは即座に関西弁を撤廃し、プラネット施工に変換します。沢山の人格を持つことを、善処に、応用したい気持ちは旺盛で、しかし、だからと言って関西弁へ転換しては良くない域はある。すぐに、態度を改め、暫くしたとき、また彼女は現れ、店で沢山買い物してプライチ交換券をプリンスにプレゼントして下さる。びっくりして、プリンスもセブンカフェのレギュラーサイズホットをご馳走するのです。カップにセブンのオレンジのシールを貼って渡せば安心。セブンカフェを自由に味わえるのです。

プラネットOFゴリラ(153)

 セブンイレブン勤務店の中で評価をされ始めたプリンス…自分はなぜ、あの時、骨付きナナチキを薦めて、売りさばき、みんなへ、アピールしようとしたか?よく仔細を思い出しながら、検証すると、全シーンが、イブでハイになってるお客様からの要望で、自分はそこでお手伝いをしただけに過ぎない。それなのに、仲間たちの評価は、鰻登り…プリンスは、はたと迷路に迷い込みます。次は恵方巻。この盤上でも、みんなが、注目をしてる現実に、舌を巻いてる己がある。あのときはマグレだった…と言われかねない危険性を禁じ得ず、見えないノルマと対峙するのです。レジでお客様を前に話はしてみたものの、恵方巻に関しては、どこまでもお客様はクール。プリンスはてっとり速く諦めるのです。

プラネットOFゴリラ(152)

 プリンスは甘え上手な自分を、上手くレジで運用すべきを、仲間スタッフから助言され、段々とその気になって行きます。クリスマスイブのあの夜、骨付きナナチキを売り込む攻勢とマシンガントークを聞いたオーナーやマネージャーが、プリンスの潜在能力に気が付き、みんなに、プリンスが持つセールスの才覚を話したことがきっかけでした。プリンスはまず、あのDJ志願のお客様に、ナナコに入会することを勧めてみようと試みます。彼は昨夜はいつもより早い時間帯、夜8時回る頃に入って来ました。

プラネットOFゴリラ(151)

 昨夜もあのお客様は見えられました。検品し店内でお菓子を品出ししている相方に悪い…と思うがついつい、話に夢中になってしまい、彼からの爆弾発言にプリンスはへたり込んでしまいそうになっていました。菓子の卸の仕事をやりながら、彼がずっと本心でやりたかった仕事はDJだった…と打ち明けて来たのです。その希望を達成させる為に何度も試験を受けて、体当たりの挑戦を続けて来た経緯を聞いて、プリンスには興奮が押し寄せていた…おしゃべりが本当に好きなことが分かったのです。改めて彼が意図する共通項に自分がすっぽりいたことに当惑を覚えました。品出しを終えた相方は、最近、髪型を変えたプリンスに感想を耳打ちして来ました。前の髪型の方が断然良かった……と。意味深過ぎる意味深発言でした。日野てる子みたいに右にひとつ結びにし、前に下ろす髪型は、おしとやかな女性を目指す為の苦肉のチェンジだったのです。