プラネットOFゴリラ(150)

 とうとう今年もあのお客様は見えられた。そして、今年二回目の夜のことでした。後ろに人が来るのを見極めながら、仕事優先のプリンスに気兼ねしながら、矢上団地マックスバリュ跡地には、何か出来るのではないか?それを言われ、プリンスはギㇰっとします。あの跡地は魅力的で、矢上団地の未来を変えてしまう程のニュース。彼は、みんなの噂の段階だと前置きしながら、ジョイフルサンアサヒではないか?プリンスの耳に入れて来たのです。

プラネットOFゴリラ(149)

 プライチマンはそのニックネームにふさわしく、マスク自体がプライチマン。微笑みが爽やかなリッチヤングマン。しかも、正月2日から会社に、こきつかわれてる…とプリンスに冗談を言ってくる。何の仕事だろうか?そこで、プリンスには妙な遠慮が沸き起こる。職業まで尋ねるのは如何なものだろうか?それはなぜ?自分に対する疑問符でした…尋ねるのは止めよう…お客様は、自由奔放にお買い物を楽しみに来て下さる。その自由に、こちらから、モノサシを入れることに、みずからの反発が動いたのです。

プラネットOFゴリラ(148)

 SNSサイトの海でみんなが遊泳するのみではなく、様々なランキングのサイトがお目見えして、プリンスは、相方が元旦仕事初めを店内で自撮りしている様子を微笑ましく見つめる。きっとラインで子供たちへ送るのだろう。プリンスは襟元へキュッとジップを上げます。このチャックを下まで下げて、白いセーターの首元を見せたい自分の心を刈り上げたのです。今年なんとしても、負債総額を減らしたい。それをやり遂げる途上になれば成功と位置付けたのです。ゴールド買いを止めて、返済トロッコへと乗り込むのです。あのお客様は、年末31日は来ないまま…しかし、代わりに、元気の良いプライチマンはやって来たのです。

他店訪問が軸やな。

 昨夜はふくの湯の帰りに淵町セブンには入りすぐ目についた。トイレに告知の紙が貼られていたんや。来年から、営業時間帯が変わる言うんや。朝の6時から、夜の11時まで…わては、素っ頓狂な顔になり、レジに立つ紳士に問いかけた。来年から時間帯変わる言うんはほんまですか?はい!!レジに立つ紳士はクールやった。セブンイレブンでは初で見たわ。本部の了解が得られたんやろな。ここは、近隣にはセブンが出来てる。以前はなかった。(歳末飛び込みESSAY入れたで)

プラネットOFゴリラ(147)

 彼の入店してくる瞬間は姿を見る前に分かります。プリンスの前に昨夜はまた現れたのですが、彼は時間帯に配慮をしていました。9時を、周り、相方が検品に入る為にバックヤードに行く時間帯を頭には打電していました。レジに来るとき、彼が何を頼んだか?もう、忘れてしまったプリンスですが、まだ、名刺を渡すことに至れない。自分の店の仲の良いスタッフ3名には渡すけど、オーナーたちにすら、自分の身分を教えてない。幼な馴染じみのみさちゃんにすら、まだ、渡してない…躊躇があったのです。彼はプリンスの内部で起こる、はてなウィンカーを先読みし、こう畳み掛けて来たのです。今年は良い年でしたか?プリンスはいきなり哀しくなって、泣きそうになる。しかし、そこで、虚勢を張るのです。

プラネットOFゴリラ(146)

 プリンスには相当の時間が余る日常でした。彼の人生を書いてみたい衝動に襲われてしまうのです。月にセブンイレブンには70時間しか入りません。あとは、寝てるだけでは時間が、もったいない。彼は日本のジグソーパズルの失われたピースの一枚ではないのか?音楽面で秀でた点を持ちながら、まだ未開拓なまま?それを強く感じたプリンスは今度彼が現れたとき、名刺を差し上げることにしたのです。きっかけは、プリンスが奥様について、踏み込んで尋ねたとき、一瞬だけ、彼には躊躇が生じていた心象が見えていた。心の中に彼は書き溜めたものがあり、プリンスがそれを手にすることにより、開花を見るなら、チャンスは到来でした。バンドマンでドラムを叩く者に、メロディーは浮かばない…は、ダボが考える構想であることをプリンスは知っていたのです。

プラネットOFゴリラ(145)

 四人の歌手の持つヒット曲が彼の頭で打電されプリンスは慄く…自分と相性がぴたり合いすぎで、困惑する。ここは、意表をついておくべき…がプリンスには点灯したのです。彼の一歩先にいたい。同士なら、当たり前の所作でした。一曲でも、彼とは異なる主張をすることで、リーダー権は獲得出来た。しかし、それに及ぼうと顔を見た途端、後ろにいた高校生に頭を下げていなくなってしまう…僕はその時、自分はレジ係だったことに、機(はた)と気がつく。人間的な脅威を見せつけられる瞬間だったのです。