プラネットOFゴリラ(107)

 

立場逆転の瞬間を見逃したことで、ゴッドはある意味に於いて、平安という傍観席を獲得出来たことに気がつくのです。現世には責任という縛りがあり、何かにつけ、いちゃもんを付けたがる連中はいる。大勢いる幕下連中の排除のためだけ、ゴッドは利用されているなど、つゆ程にも想像は出来ずにいたのです。ゴッドとプリンスの違う点はそこでした。プリンスには変わり身という武器があり、いつでも、7つの人格から選べたけれど、ゴッドには人格の選択肢は存在しなかったのです。ただ単に、当人が器用なだけではなく、変幻自在をカルチャーとしている。ゴッドは先を急いでいました。みずからを有利にしないと、使い捨てが起こらないとは限らない。安全圏はやはり、プリンスと同じ光景を見ている時間……それが鍵を握っていたのです。