貞彦編796

 

このあたりが、ちょうど、貸本屋さんがあって、放課後立ち寄った場所だけどなあって撮影しながら立ち止まる。私がしょっちゅう、覗いた月刊誌や週刊誌を解いて、付録だけを売ってあった店。本を貸し出していた。国道34号線から一本入った一方通行の旧道。矢上小学校正門あたりになる。本屋の中は薄暗く、手にとって確かめるほど、わくわくしながら選んでいた。店のノートに貸し出し歴を書き込んでくれて2日くらい借りることが出来て、毎回友達と寄っていた。帰宅してひとりで散策することもあった。あの頃の思い出が蘇る。付録にどんな思いを込めてあるのか?作り手の心拍も伝わってくる。小学校時代はそういう意味でも馬鹿には出来ない。毎回ストーリーを考える漫画家たちの頭脳のしなやかさ・・・洒脱さ。そういう力量は一体なにを根源としている?って幼い頭で追い駆けた。付録の美味も相当あった。周囲も同じ興奮にときめき、あの時代から付録はみんなの心をしっかり掴んでいた。興味のあるものが同じだったとき、クラスメートの中でお互いを認め集いも熱くなる。で、さああ・・・あの続きはどうなると思う?それはわからん、見てからのお楽しみ!!って。60年近い時間が流れて今も空は変わらない。大人になっていくことがこうも素晴らしいことだなんて・・・雑誌を超える人生をのちに歩みたい。そういう思いが密かに芽生えた旧道だった。