プラネットOFゴリラ(86)

 逃げるように故郷をあとにし、どこか、遠い場所で再生を試みたい。16歳の頃からずっと考えていたことは、エスケープでした。人の心が見えることが、その欲望を促進したと言えます。落ちこぼれとして、格下に見られる辛さは経験した者にしか、わからない。その受難をみんなと共有したい。それを経験した者だけ?それは違うのです。プリンスは人の心が連動していることを、すでに、掴んでいました。例えばいろんな事象に対峙したとき、たとえ自分が経験していなくとも、感動が伝わることがある。16歳の時、現実逃避を計りたかった自分の願いは文学に繋がっていたのです。