プラネットOFゴリラ(17)

 

コンビニで虐めを受けても、プリンスは悩んでいるかに見えて、実は平気だった。あのときの体験に比べたら、すべてがちっちゃい。屁のかっぱだったし、むろん比較にも、ならなかったからだ。世の中で存在を消され、言論も消去され、生きて行く過酷を味わうも、他言は無用にして、凡そ10年も沈黙を通せたのも、嫌なことからは、ソッコー逃げる体質を温存していたからだった。人は無碍に自分を扱い駄目にしてしまう。それは絶対に避けるべし…この啓示は何物にも、替え難く、で、あるからこそ、次のフェーズにも、素早く行ける身軽さを持つのではなかろうか。そういう意味で執着はなかった。誰もがプリンスを軽視し、存在を軽んじたが、彼自身はみずからを大事に扱った。エスケープは時に、プリンスを助け、プリンシパルにして行ったのだ。