貞彦編780

 父が半生の記をコピーしてあたしに渡して来たのは随分前です。2015年に亡くなった父は松本清張にかなり傾倒して彼こそが作家の真の姿だ・・・っていう確信があったのでしょう。その綴じた三冊を見ながらおとつい、ため息をついていました。自分が心底いい・・・とそう思ったものが、人にも同じ受け止めがあるだろう・・との類推、予測をどこで、培っていたのか?っていう法外な思いなんです。私はあまり、こういう傾向がないのです。これはいいな・・・って思ってもそこまで、人に教えたいな・・・までは行けない。性格かもしれない。父は教師だったから、そのものズバリ、教育熱があったんだ・・・って今は理解しています。本を一ページずつ開いてコピーする作業は並大抵の作業ではありません。八十代で、父は、それをやってのけた・・・驚きに値します。