貞彦編〔94〕

 この狂歌は不完全で補足が必要。まず分解しましょう。☆勝てば官軍☆これが発句になる。そして負ければ賊よこれが第二になる。じゃあ三は?ないんです。えええ?みんなが気が付かない方がおかしい。あとはちゃんとあるのです。命惜しむな 国の為・・・じゃあ補足はどこに施すのか?負ければ賊よの後に来る七文字もしくは五文字になる。勝手に補足しても構わないの?ってみんなが思うのなら逆に不可思義。なぜならあの狂歌を思い出して下さい!!ペリー来航で慌てた町民たちを描いた狂歌ですが元々は太平の・・・だった。それが後に泰平と変遷し、眠りを覚ますに変化しています。これは元々眠気だったと言われている。益々、改訂重ねることによってこの狂歌が国民に親しみを増していったことが物語るのは、町民の文化である証明。どえらい人がしたためているものなら改訂こそ憚られる。けど・・・所詮はまるごしの町人の滑稽狂歌。そこで許しが得られるのです。じゃあ泰平の眠りを覚ましたのは何か?っていうと蒸気船で”じょうきせん”という高価な緑茶が掛かっています。喜ぶという字が入った宇治茶。眠れないほどに町民たちは心配になったという当時の恐ろしさをコミカルに描き、狂歌としては一流どころ。グーの音も出ないあたしたち。しかしこのように変遷を重ねてきたことに一瞬の安堵を貰う。そしてこの国の文化の素晴らしさに戦く。いい国に生まれてとっても満足を思うのです。