貞彦編〔32〕

 父にとって二人の子供なんて、お荷物に過ぎなかったのか・・・そして子育てにいわば失敗した母のことも採るに足らない存在だったのか・・・あたしは萎れる心で次の文脈を発見するのです。133ページに入った時。私の知人に子どもで苦労している人があります。その子のことを思うと死んでも死にきれないといって苦にしております・・・又なんでここでそういうの拾っているわけ?ってあたしムチャ焦る。ここに父の本当の心が隠れていること、そして著書に対する父の拘りが見え隠れしていることにソッコー気が付く。しかしそれも父にはあえて言いません。どうだったかな?僕の本の感想は!?って畳み掛けられてもあたしは本心を話しません。父は本当に何かにすがりたい気持ちでこの本を出したということ、そして自分を立て直す為にも・・・。それは逃げの姿勢かもしれないけど、あたしは寛容の心で接するのです。お父さん、ごめんねって。父は子供達がきちんと社会人になれなかったことを自分を責めるというやり方からはほんの少し離脱し、しかし本の中では、きちんと誰かになり済ましながら、やんわりあたしたちを責めている。このままではいけないでしょ?君達は!!って促している。あたしは父の書物の中で気が付いた雑感を生かしながら自分は全く違った攻勢の本を作るべきなのでは?世の中がこれが最高ですよね?って思い込んでいるものにも付箋を入れつつ、見切り処分セールの札も付けていく。これは勇気の必要になる作業です。織り込まれた刷り込まれた常識ではこの国はやがて立ち行き困難になるだろう・・・しかし比喩と経験を活かせば?あたしの心はアバウトで天真爛漫でした。