貞彦編〔29〕

 特にあたしが獲るのが隔世遺伝子強の論点です。両親よりもむしろ極端に現れてしまう。嬉しいことですが、特に今まで感じなかったものを最近は特に感じるようになっている。書に向き合う時・・・隣から絵を描かせてくれ!!って聞こえるのです。僕ならこういう構想にする、昨日はちょうど、オリーブオイルが掛かった豆腐の構図。祖父の光男の絵心が刺激されたとでも言うのでしょうか。このオリーブオイルの色がとても魅惑だと話す。あたしもドギマギしてしまう・・・習字を家でしたためることが人生では初。しかも小学校時代の教室以来。だからこそ、新鮮だった。しかし光男が脳裏に現れてさい配を開始。この色がすべてを決めるんだ。琥珀色〔シャンペンカラー〕が勝負を決めるって・・・しかし不思議な光景です。どう見てもどう考えてもそれは否定されるのがおち。この前も、バルジ大作戦を見ていた時ですが、映画はドイツとアメリカの戦争の真っ最中。あたしはドイツが爆撃受けるたびに心臓に穴が空く。冷や冷やしている。しかしながらアメリカがやられる時には安堵が走る。なぜなんだ??って。確かに三国同盟で日本がドイツ、イタリアと同盟を組んだことはあるけど、あたしはそんなこと全く知らない。それなのに既に織り込まれている記憶がある。その記憶があたしに影響を与えている。しばらくは茫然として映画を見ながら脳ミソを分析していたのです。どうやら遠隔作用に似ているけど実存する枠組みのようです。否定出来ないものだなって思うのも仕方ない。二人の祖父がそれぞれ自分の仕事という専門分野に精通していた証しなのです。