貞彦編〔10〕

 父の姉でも早くお嫁に行ったことで、あたし達と余り接触の無かった長女の存在が実はこの物語に大きな影響力を及ぼす。なぜなら夫が満州開拓軍記者だったからです。この長女はアルバイトで東望の浜海水浴場に行き旦那と恋に陥る。タヤリンも大賛成。当時としては珍しい中央大学出でタヤリンは安心します。長女の名前は良子です。それをながこと呼ばせていました。私はその大村の家を訪ねていつも家で一緒に住む伯母も一緒に泊まったことがある。西沢というデパートが当時あって、家のあった住所も覚えています。珍しい町名だったのです。戦後高校の歴史の先生をしていたのですが、物静かで滅多にしゃべらない。寡黙な旦那です。あたしは父のすぐ上の姉がまだ母に対して好感度あったので、実は、このお泊まりも怖かった。しかしちょっとでも交流を味わうことの大事さを次女のマレは思ったのでしょう。嫌悪感は家に入って即伝わって来ます。あんたのお母さんを嫌いだから!!っていきなり煽って来ます。一泊もしたくない気持ちに小学校低学年だってなってしまう。あたしは心で実験を予定。次の日、みんなで西沢に行った時に人形をおねだりしよう!!そこで相手がどう出るか?探ってみようって。断られるのは分かっていたけど相手を観察することが大事だったのです。母を嫌いならその子供をどう扱うのか?そこを是非見たかったのです。