貞彦編〔6〕

 まずタヤが当時としては遅い結婚だったことをしたためておかないと・・・。三十歳を超えている。なぜなら気性は決して荒くはないんですが、真面目過ぎてがちがちの処があった。それも名家に育成されたからこそ。なんか可愛そうになる。愛をしかし哀に変換したりは不要だと思う。冗談も通じない人では決してなく、逆にその片鱗を伺うような、たとえ話も聞いたことがある。娘が出戻りで家に帰って来て、当時、教職員の世界でも忘年会があって、帰りが遅くなる娘をタヤが提灯を持って矢上☆ヤガミ☆のバス停留所で待っていたと言います。電話も上等な家にしかない時代です。それで、一緒にタクシーでそこまで帰って来た教員も、大事な娘さんをここでしっかり送りますね!!そんなに心配は不要ですよ?って伝えると、何を思ったのかタヤがこう返したというのです。送りオオカミっていう言葉もありますけんねえ?私はこれを伯母から聞いた時、おかしくて、まだ、その頃川柳をやってませんがタヤばあちゃんのジョークを頭の保管箱に直す。こ、これは・・・実は相手を傷つけている、そこに気が付いてないばあちゃん凄いって!!こういう時、名家の出っていうのが厭らしいほど、出るんだなあって。