貞彦編〔5〕

 みんなも、もっと真剣に考えないといけません。このコーナーは本当なら虎彦編だったんですよ。私は父の人生を、これまで過小評価し過ぎていた・・・非常に損することが多かった人物ではないか?って。しかし損して元獲れ!!が母親タヤの口癖だっただけあって、エスプレッソの香りさえしてくる。事実、誰にも迎合せずに、あやしい場面も多少あるけど、許せる範囲かもなあって。彼は人と人の口語の挟間を利用しながら上手く人生をすり抜けた人物であることが確定的になっています。それはとなりの芝生を見て気が付いたのです。お母さんが来るのを最初は渋っていたのに、お兄さんから説得されて、引き取って自分の嫁と格闘させる。最初は新築の家になぜ母親が?っていうがっくりした表情だったのが、どんどん昔みたいな母と息子のあうんの呼吸が蘇る。そしてなんと母は不倫した相手と本気なら一緒になってもいいじゃない?ってカマかける位に息子の心中深くまで影響及ぼす。しかし・・・そこまで作る橋田女史がスゴ腕なのです。息子というものの、とりなし方を全部持っている。この手腕は実はタヤも持っていた可能性高い。前の結婚で亡くなった女児のお墓のことはちょうどその頃に亡くなった姉の子供にしてしまおう・・・暫くは、それで行かないと、高貴なお嫁さんが気分を害して出て行くのが目に見えているよ・・・って。みんなに貞彦は説得された。タヤは嘘をつきたくてついてないことも明らかです。